後書き

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　12章　後書き（生命の進化論を書くにあたって）　　　　

　何時の頃からか、私の脳裏には人間は二つの仕事をしなければならないと言う思いが、意思とは別に怒涛のように襲いかかっている。意思が伴わない欲求が本能的行為であれば、これはやはり本能なのであろう。欲求そのものは、各自の心を高めて種全体を進化させていく源であり、また、一般には種を維持するための源である。

　私は、分別のつく高校時代以後10年間授業を受けてきたが、非常によくまとめられた通り一辺倒な内容を、暗記するだけであって（理数係の学問においても同様である）、本当に根幹の部分として理解しているのだろうか。　生を思考する者は、本屋で手にした書籍、あるいは講演者の話に感銘および共感して、人生の方向を決める比重を高かめるのではないか。繰返すが一般学生は、卒業までの授業において、心に残る学問をしていないに等しい。周りの集団の交流のみでは、狭い人生観しか得られず、人生を学べない人間となる。類人猿がそうだ。勿論、人間の大部分もまだまだそうだ。社会を要素還元する人生観がないため、己の存在価値が分らず、ちょっとした神の、仏の、自然の試練に愚痴り、罵り、泣き、ついには投げやりの行動により、他人をも不幸に導くことに気づかない。レベルの低い本能の誘惑に負け、「人間も動物のうち、弱肉強食だ」といって、理性の欲求を無視して平気でいられる。どんなに知的に優れている人でも、このような学習が成されないと、理性的な欲求により、ちょうど思春期にさしかかる男女が、性欲と言う得体の知れない刺激に当惑するように、いらだち、苦しみ、悩む。より深刻なのは、本能の進化が非常に長い尺度であるため、その一時期に生まれた我々は、その理性的な欲求を抑え続けるか、自分自身を自ら退化させないと、その当惑は解決しない。しかし、それは生えてくる神経繊維を、何回も何回も抜くようなもので、死ぬまで沸あがる欲求に責め続けられるだろう。それよりも、本能の進化の方向を理解して、それに素直に従えば心は迷うことなく、快感をもって満たされる。

　人間が生存するための科学の発達は、人間の欲するところではあるが、それのみによって人間は救済されるものではない。科学の進化と生命の進化は、次元の違う話である。Ｘ．Ｙ軸からなる2次元関数、例えばY＝aXｂ＋ｃ（b=1）が見事な直線を表現していようとＺ軸方向については、何も示されていない。また、大事な事は台湾の事、フィリピンの事・・・・の多次元に渡る特殊事例（特殊解）を集めて、人間に潜む一般解を導いていく事ですね。

　Y=F（X)＝aｘｎ+・・

　平面上でいろいろな規則が当てはまる曲線であっても、３次元まで拡張して討論は出来ない。人間の認識から発展していった科学は、宇宙に関する非常に素晴らしい法則を解明している。しかし、それが捨て切れないほど見事だとしても、それを基に人間を理解するには無理がある。人間の一瞬というか、特殊な一部分しか表現できない。科学というものは、人間が見つけ出した人間の存在を知る、一つの手段でしかない。科学は、宗教的なものを解析して取り込み、新しい体系が出来上がっても、何ら不思議でもなく、むしろ当然のような気がする。科学は、自然の現象を説明するための一つの手段であり、長時間かけることにより、人間のクオリアを含む心の現象を、理解できるようになるだろう。

　しかし、私の討論したかったのは、Ｚ軸である人間とは、生命の進化とは何かである。

　人間の直感とか経験則とかいったもの、例えば多くの人々によって築かれてきた宗教や迷信などを、吟味することである。まだ、不完全な科学的合理主義社会では救えない、精神面（心）の救済の鍵を、それらは秘めていることだろう。人間を含めて、地球上に平和と幸福をもたらすには、一つは生活するために従事する仕事であり、もう一つは各自の心を高めていくための仕事である。

　それでは、どの様にすれば良いのだろうか。私は、拝金主義が蔓延している社会で、誰もが自責の念に責めさいなまれているものと、信じている。お金を持たない大多数が、お金への執着により、体制組織に自らを捧げてしまっている事が残念だ。類人猿よりほんのすこしだけ進化した我々が、より進化するために、感情と信頼と愛の素晴らしさの他に、より高いレベルのこの満たされない欲求に、素直に従うことによる素晴らしさを、このウェブサイトをご覧になる皆様と、考えてみたかった。読者にとって、私はお節介な難題を投げかけたであろうが、地球上の生命の幸せのために、あえて提唱した。

　さらに、これを読む人々にお願いがある。

それは、以下の事柄である。

現在、生きるために多くの思想や宗教があり、科学では理解できない事があるが、決して科学と矛盾するものであってはならない。例えば比喩であるが、神が神と同じような二人の人間を作ったとか、泥の雫が淡路島になった、というお話は民話の領域としたいものです。

　私の述べた話も、上記に類するかもしれませんが、これをベースに意見交流をする事により、人間に相応しい思想を作り上げていければ、本当に幸せである。

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